人と犬の口内環境の違い

犬の歯のトラブルといえば、まず何を思い浮かべるでしょう。動物病院では、よく「うちの子、虫歯がありますか?」と尋ねられます。人の歯のトラブルといえばまず虫歯ですが、実は犬の虫歯は非常に珍しいのです。ではなぜ、犬は虫歯になりにくいのか。そこには人と犬の「口内の環境の違い」があるのです。

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人と犬の口内環境の違いを知ろう

まず最初に人と犬の口内のペーハー(pH)の違いがあります。pHは物質の酸性・アルカリ性の度合いを示す数値ですが、犬の口内はpH8.5〜9.0でアルカリ性、人はpH6.5〜7.0で弱酸性です。そもそも虫歯は、酸性の環境のもと、虫歯菌が口内で炭水化物(糖質)を発酵させて酸を作り、それが歯の表面の組織を破壊していくもの。犬の場合、口内がアルカリ性のため、虫歯菌が繁殖しにくいとされます。また、人の唾液には食べ物の中のデンプンを糖に分解する酵素があります。犬にはこれがないため、口の中に糖があまりとどまりません。さらに、歯の形状の違いもあります。人の歯の多くは臼のような形なので、放っておけば咬み合う面のくぼみに虫歯菌がたまります。一方、犬の歯はほとんどが薄くとがった形をしているので、虫歯菌がたまりにくいのです。こうした違いが理由で、犬には虫歯が少ないのだと考えられています。

犬はなぜ虫歯になりにくい?
  • (1)口の中のphが違う:犬はpH8.5〜9.0(アルカリ性):人はpH6.5〜7.0(弱酸性)
  • (2)唾液中にアミラーゼ(消化酵素)がない:デンプンを糖に分解できない
  • (3)歯の形状が違う

犬に多い口内のトラブルを知ろう

犬に多い口内のトラブルをあげてみましょう。まず一番にあがるのは歯周病です。歯垢の中に潜んでいる細菌によって、歯の周辺の組織に炎症が起こる病気です。犬猫では非常に多く、3歳以上の8割がかかっていると言われる口疾患の代表例です。次に歯自体のトラブルがあり、多いのは「破折(歯が折れること)」や「咬耗(歯が磨り減ること)」です。折れたり磨り減った部分からばい菌が入ると重大な疾患を引き起こすため注意が必要です。小型犬や短頭種によく見られるのが、歯の咬み合わせや歯並びの異常です。乳歯が抜けずに残る「乳歯遺残」はその原因のひとつとなります。「多少、歯並びが悪くても大丈夫」と見過ごされがちですが、長期的には歯周病を引き起こすなどの様々な問題につながります。

犬に多い口の中の病気は?
  • (1)歯周病:歯の周囲の組織に炎症が起こる。犬猫で非常に多い。
  • (2)破折(はせつ)・咬耗(こうもう):歯が折れたり、磨り減ったりする
  • (3)乳歯遺残(にゅうしいざん):不正咬合の原因になる

監修 藤田桂一先生

フジタ動物病院院長。獣医師・獣医学博士。1985年、日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)大学院獣医学研究科修士課程修了。動物病院勤務を経て、1988年、埼玉県上尾市で開院。2000年、日本大学大学院獣医学研究科にて獣医学博士号を取得。日本小動物歯科研究会理事をはじめ、多くの学会、研究会の委員や評議員として活躍。

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