高倉はるか先生が伝授! 愛犬との絆がもっと深まる歯みがき成功への道

どんな犬でも最初は歯みがきを嫌がります。犬が嫌がることをするのは、飼い主にとっても気が重く、いろいろな不安や苦労がありますよね。そこで、「いぬのきもち」を知るエキスパート、獣医師でありペットライフアドバイザーの高倉はるか先生に犬の歯みがきを成功させるための秘訣を伺いました。
「飼い主と愛犬、お互いのストレスができるだけ少ない方法を目指して、一緒にがんばっていきましょう!」と語る、はるか先生直伝の成功ポイントをご紹介します。

image

高倉はるか先生のプロフィール
株式会社Treats代表
獣医師、ペットライフアドバイザー
東京大学農学部獣医学科卒業。
同大学大学院農学生命科学科獣医学専攻博士課程在学中にアメリカへ。カリフォルニア大学デービス校附属動物病院にて行動治療学を研修。
その後、動物病院での診察や大学講師、獣医師への講義、講演などを務める。

まず最初に知って欲しい、歯みがきに対する「いぬのきもち」

そもそも歯みがきは、犬にとってイヤなこと

歯みがきは、犬の自然な生活のなかで本来ありえないことのひとつ。犬は歯みがきの意味や大切さを知りません。理由もわからず、口の中に“食べ物以外のものを入れられて、歯をこすられる”ことは、犬にとって不快な経験です。とても不安で怖い体験だからこそ、嫌がったり暴れたりしてしまうんですね。犬にしてみれば、当然のリアクションです。

歯みがきは、犬との信頼関係をチェックできる指標のひとつ

歯みがきは、犬の健康面を考えると、とても重要なことです。と同時に、犬にとってイヤなことが多い歯みがきは、しつけやコミュニケーションの完成形といえるくらいハードルが高いものなのです。
そこで、成功へのポイントとなるのが、愛犬と飼い主との信頼関係。
犬は飼い主のことが大好きで、一緒にいる時間を楽しいと感じています。でも、それと“飼い主を信頼している”は全くの別ものなんですね。信頼関係がきちんとできあがっていないうちに、いきなり歯みがきをスタートさせても道は厳しくなるばかり・・・。歯みがきは、愛犬との信頼関係を知るひとつのバロメーターともいえますね。

犬の歯みがきを楽しくはじめるための10の秘訣

犬の歯みがきは、愛犬にとっても、飼い主にとっても、できるだけストレスなくスムーズにトレーニングできることが理想的です。でもその前に、日常的なコミュニケーションやしつけに対する愛犬の行動を客観的に確認してみましょう。飼い主と愛犬の信頼関係をさらに高めて、これからの歯みがきトレーニングに役立てていきましょう。

image

POINT 1 口の周りをタッチしたり、唇をめくっても嫌がりませんか?また、過去に一度でも噛んだ経験がありますか?
犬にとって、口の周り(マズル)を触れられることは、母犬が子犬を叱ったりする時にこの部分を軽くくわえるように、上位の犬が劣位の犬に対して優位性を確認する行為のひとつです。犬の歯みがきをしていく上で重要になる口の周りですが、嫌がる犬が多いことも事実ですので、犬がイライラしている、ムッとしていると感じたときは無理しないでください。歯ブラシをどうしても嫌がる子は、歯みがきガムや歯みがきおもちゃを上手にとり入れるとよいですね。また、過去に飼い主を噛んだ経験がある犬は、前触れもなく突然噛むこともあるので注意が必要です。愛犬を過信しないで、動物病院で相談しながら、進めていきましょう。
POINT 2 いつでも、どこでも「お座り」が100%できますか?
100%というのは、散歩中や遊びに夢中になっているなど犬が興奮状態のときでも、「お座り」がきちんとできるという意味での100%です。子犬は楽しいことを優先しがちですが、成長に伴って「飼い主が出すコマンド」と「自分のやりたいこと」を天秤にかけるようになるんですね。言うことを聞かせようと思って、大きな声で「お座り!」といっても逆効果。こんなときは飼い主が冷静になって、「好かれるより信頼されるようになろう」と気持ちを切り替えるくらいの余裕を持つことの方が得策です。
POINT 3 「落とせ」「離せ」など、口にくわえたものを離すことができますか?
タオルやおもちゃを、口にくわえたまま返してくれない犬がときどきいますが、歯みがきをするときには歯ブラシやガーゼなど物を使います。日頃から、ボールやおもちゃでも犬が何かを口にくわえたら、手を出して「離せ」「落とせ」とコマンドを出す練習をしてあげるといいですね。もちろん、きちんと口をあけて離せたら、たくさん褒めてあげましょう。たくさん褒められて育った犬は、飼い主から言葉をかけてもらえるだけで嬉しくなります。
POINT 4 「ステイ」「待て」「ふせ」など、姿勢を保つコマンドに従えますか?
歯みがきをするときに、犬が一定の時間同じ姿勢を我慢して保っていられることも必要です。もちろん、歯みがきをするときの姿勢は犬種によって違いますし、飼い主のやりやすい体勢というものもあると思います。ポイントとなるのは、同じ姿勢をキープしたまま、いろいろな所を触られても、嫌がったり、立ち上がったり、走ったりしないようにできるかどうか?をチェックしてみてください。
POINT 5 体を押さえつけらても嫌がりませんか?
同じ姿勢を保つことにプラスして、犬と飼い主のお互いが安全に歯みがきを行うためには、多少なりとも犬の体や顔を押さえつけなければならない必要性が出てきます。犬の性格にもよりますが、押さえつけられることに抵抗する場合は、短い時間からはじめて少しずつ慣らしてあげることをおすすめします。
POINT 6 どんなときでも、「おいで」と呼ぶとスムーズにやって来ますか?
おやつがあるときだけでなく、犬にとってたとえ嫌なことでも「おいで」と呼んだら、きちんとやって来るかのチェックです。犬にとって嫌なこと・・・歯みがきもそのひとつですが、逃げる犬を追いかけて無理矢理捕まえても犬自身にはまだ覚悟ができていません。この“覚悟”ができているかいないかで、犬のストレス度は大きく違います。私の場合は、歯ブラシを見せながら「歯みがきをするよ。おいで」と言っていますが、たまに「えぇ!?」とウロウロしていることがあるんですね。でも、「早くいらっしゃい」と毅然とした態度で待っていると、その間に犬はどんどん覚悟して近づいてきてくれます。覚悟さえ決めたら、犬は思っている以上に我慢強い動物です。
POINT 7 コマンドを出すときは、「終わり」のコマンドもセットにしてリリースしていますか?
言葉を学習するスピードが早い犬は、言われたコマンドと次に起こることを結びつけて行動していきます。コマンドは犬との会話です。どんなコマンドでも、必ず終わりがあるということをその都度言葉で伝えてあげてください。飼い主が「終わり」と言ったらリリースしてもらえる、と教えることで、「それまでは我慢すればいいのね」ときちんと理解して嫌なことでも我慢できるようになります。声の高さやトーン、スピードなどを気にするよりも、合図そのものに一貫性をもたせることが大事です。
POINT 8 おやつが大好きな子ですか?
おやつが大好きな犬でしたら、歯みがきの時しかもらえない「歯みがきガム」のようなスペシャルなおやつをあげることも効果的です。嫌な歯みがきを、きちんと我慢したらご褒美がもらえた、と犬が覚えて我慢できる時間も長くなっていきます。あまりおやつに興味のない犬でも、何かしら好きなものがあると思います。嫌な度合いが減るようなご褒美を取り入れてあげましょう。
POINT 9 新しいものや新しいことを怖がったりしませんか?
歯ブラシそのものを怖がる犬もいます。そんな怖いものを口の中に入れられるなんて、もっと怖い経験としてインプットされてしまいます。新しいものや出来事に対して怖がるタイプの犬の場合は、すぐに歯みがきトレーニングをはじめず、先に抱いている警戒心を取り除いてあげることが必要です。犬の目に留まるようにさりげなく置いてみたり、飼い主がいつも手に持っているなど、何でもない生活環境のひとつにしてから、トレーニングをスタートさせてください。
POINT 10 上から覆いかぶさられても怖がりませんか?
犬にとって、上から覆いかぶさられるのは、とても怖いことです。これは、動物の本能として危険を感じているからなんですね。特に比較的小型な犬にとって上から撫でられたりするのは、実は怖くて仕方ないことなんです。しかし、動物病院などでも上から覆いかぶさられる機会が、結構多いことも事実。歯みがきはもちろん、犬がいろいろなシーンで覆いかぶさられてもストレスを感じないように慣らしてあげるといいですね。最初は、飼い主や犬をよく知っている人が「怖くないよ」ということを教えてあげてください。

犬は生後6ケ月くらいから歯が生え変わりはじめ、自我も目覚めてきて成犬らしい行動をとるようになります。今回のテーマ「犬の歯みがき」では、自我が目覚める前と後とに分けながら、チャレンジポイントをご紹介します。

  • 6ケ月未満ではじめる歯みがきチャレンジポイント
  • 6ケ月以降からはじめる 歯みがきチャレンジポイント

これで準備は万全。いよいよ歯みがきにチャレンジしましょう!

  • 犬の歯みがきステップ1・2・3 監修:フジタ動物病院 院長 藤田桂一先生

【犬の歯みがき成功への道】をご覧の皆様

獣医師でありペットライフアドバイザーの高倉はるか先生が、犬の歯みがきを成功させるためのポイントをご紹介。犬の歯みがきについての正しい考え方や、犬の歯みがきを楽しくはじめるための10の秘訣を参考に、あなたの愛犬に合わせた方法を見つけていきましょう。